越智 隆治
3日目(8月7日)、風が強まる

昨晩、食事を終えて町からホテルまで帰る暗い夜道で、星空を見上げた。細長く月が出てるのを見つけて、すでに新月が数日前に過ぎていることを知った。「なんだよ、昨日は新月って書いちゃった。まあいいか」とビールを飲んで気分が良くなった頭で考えて、すぐにそのことを忘れて、美しい星空を見上げながら、大きく深呼吸した。
部屋に戻ると、電気を消すことも忘れて、そのまま泥のように眠った。泳ぎ疲れたのもあるし、まだ、この生活に慣れていないのせいでもあるようだ。
翌朝、昨日より風が強くなっているようだった。海に出ると、やはり南東からの風が強く、肌寒く感じられた。時折雨雲が島を覆いつくした。
この日もあるエリアに行くとブローが確認できるのだけど、なかなか長く一緒に泳げるクジラは見つからなかった。遠くでブリーチングやテールスラップしてるクジラを見つけて、急いでそちらに向かってボートを走らせるが、近づくと止めてしまう。
そんなことを繰り返して、午後になり、やっと目の前にいても、テールスラップを頻繁に続けるペアに遭遇した。一度入水してみたが、接近しても激しくテールスラップを繰り返す。おまけに、島影から波の荒いエリアに移動してくので、オンゴが「今回は船上からの撮影にしろ」ということで、しばらくそのペアを船上から撮影し続けた。

ノーファとトニーの乗る船の方は、結局あまりよいクジラを見つけることができず、しかもエンジンの調子がおかしいので、クジラを探すのを早々に諦めて、スワローズケーブにいると無線が入ってきた。他の船も風が強く、限られたエリアでしかクジラを探せていない様子だった。
僕らもしばらくそのペアを撮影していたけど、この日は早めに切り上げて、マリナーズケーブに向かった。昨日の超フレンドリーなペアを見てるだけに、皆気持ち的には余裕がある。
